まったり叫ぶ桃の実

桃が1日の終わりに、その日思ったことを綴ります。口調が定まらないのもご愛敬

志賀直哉『剃刀』『網走まで』読了

久しぶりの志賀さん〜!!

 

『網走まで』

面白かったか? と聞かれれば正直「よく分からない」が一番感想として近い。

印象としては移動中の電車内で出会った親子連れに人間観察日記。観察した様子から母親の行く末とかここにはいない父親の姿まで想像してる部分はちょっとだけ推理ものっぽさがあったかも。

 

個人的には車中のやり取りより最後の葉書〜投函までのくだりが一番読んでて心が踊った♪

これまで冷静に親子を見てた主人公が最後母親のよれてる部分を直しながら顔を赤らめたり、葉書を読みたい欲望に負けそうになる辺りが好き! 主人公の人間味が伝わってきて凄く引き込まれた。

わざわざ宛名を上向けて出したこと描写して読んでませんよ! してたのも良き。暫くこの葉書についていろいろ推理するんだろうな〜!!w

 

あと、駅員さんの前が空いてますよー! の呼びかけを無視して一番近いドアに殺到する人が多いのは、今も昔も分からないことが分かって面白かったw

私も座ること優先で最前まで行くことが多いから「わかる〜!」って一番共感したポイントでした!

 

 

『剃刀』

あるフォロワーさんの影響で読む前から名前だけは鮮明に覚えてた一作。

 

タイトルからなんとなく不穏な空気を感じていたから、身構えてはいた。

序盤に芳三郎が客を傷つけたことがない。って情報が出てきた時点で察したよ。

実際作中で起こった出来事は予想通りではあったし。まぁそうなるよな、と。

 

でも志賀さんの淡々とした、丁寧に情報を出していく文章力の影響か、先読めてるはずなのに読み進めるのが途中でちょっと怖くなった……w

特に喉少し傷つけてしまってからトドメ刺しちゃうまでのラストページ。

一行、一文字読み進めるのを思わず躊躇したくなった。

読んだ後しばらく口あんぐり状態で呆然としたし、今は前情報なく軽いホラーサスペンス小説読まされた気分だよ。それも楽しいからいいけどもね!?

 

未だに飲み込んだ物語が消化できてないので全然詳細に感想書けないけど、とりあえずインパクト絶大すぎた。また時間おいて読み直す!!!

 

 

 

 

まだ数作の短編しか読んでないけど、やっぱり志賀さんの文章は読みやすい。とんでもなく読みやすい。

長編になるとまた変わるのかもだけど、今回の2作もこれまで読んだ作品も全部スッと読めて大変助かる。ほんっっっとに読みやすくて助かる。

小説の神様があまりにもつょぃ……むしろ怖い域。

 

 

※以下、私の読解力不足が一番原因とわかっています。

でも個人的には(読んだ作品が短編のみっていうのもあるだろうけど)読みやすくサッパリしてるからなのか、作中の起伏が穏やかで読んでる途中にちょっと物足りないな〜と思ってしまう部分がある。

もちろん読んだ後に物語を思い返しながら思考してる時はめっちゃ楽しい!!でも「読んでる途中の時点で、もっとグッと引きつけてくれる志賀さんの作品に出会いたいな〜」と。

 

 

それにしても志賀さんの作品よ。

序盤からゆっくり確実に積み重ね、最後にそれらを効かせたとんでない大爆発起こして読者の感情かっ攫っていく作品多すぎるん?? 偶然ですか?? 怖い〜! でも楽しい。